投稿者「棚瀬心理相談室」のアーカイブ

愛着のネットワーク

古くは「母原病」、そして最近では「母という病」などといった本が広く読まれていますが、こうした本を読んでいますと、母子関係にのみひたする注目するその視点の単純さに落ち着かなくなってきます。

子どもは母との関係の中でのみ生きているわけではないわけです。母との関係、父との関係、きょうだいとの関係、祖父母との関係、叔父さん、伯母さんとの関係、あるいは友達との関係など多くの関係性のネットワークあるいは愛着関係のネットワークの中で生きているのが現実です。ですから母との関係が悪くても、それを補うだけの良い父子関係や祖父母との関係などがあれば子どもはうまく適応していけるわけです。

愛着理論でも昔はまず母と子どもとの間に愛着関係が築かれ(モノトロピー)、父親との愛着関係は遅れて築かれると言われていましたが、今では誕生と同時に子どもは着のネットワークの中で複数の愛着関係を築いていくと言われるようになりました。

誕生と同時に複数の愛着関係を築いてきた子どもが、たとえ親が不幸にして離婚したとしても、その愛着関係のネットワークを維持していけるような社会になることを私は心から願っています。

 

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子どもが他方の親を愛することを許せるか?

離婚そのものが子どもに悪影響を与えるのではなくて、その後に両親が離婚後の課題にどう対処していくかが大事であるということはよく言われることです。

離婚後の課題はいろいろありますが、中でも一番大事で、しかも困難な課題であると私が考えていることは、子どもが自分以外のもう一人の親を愛することを受け入れていくということであると思います。

子どもは虐待をされたり、捨てられたりしないかぎり両親を愛しているのです。これは揺るぎない事実です。

離婚の悲劇は、親はもう一緒に暮らせない、同じ空気も吸いたくないと離婚を選んでも、大多数の子どもは親に別れて欲しくないと願っていることです。このように親の思いと子どもの思いは基本的に一致しないのです。

面会交流を心から気持ちよく許せるかどうかの根底にはこうした困難な課題が横たわっているわけです。

 

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心理相談室開設祝いのお知らせ

9月20日{金)、21日(土)の両日、14:00~20:00で棚瀬心理相談室開設祝いを事務所でいたします。私はずっと待機しておりますので、短時間でもお近くにお越しの節にはお立ち寄りください。お待ちいたしております。

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離婚における役割逆転の特徴

前回は離婚後の役割逆転疑似成熟について述べました。

こうした親子逆転は、離婚に限らず、親がうつ病やその他の精神的疾患に罹患して親として機能できない場合にも生じてくる問題です。

しかし、離婚後に生じる親子逆転は、単に親が子どもに依存し、子どもが親の世話をし、精神的に支えるといった逆転だけではなくて、より複雑な役割を子どもが担うようになるということが離婚の研究では夙に指摘されています。

それは片親の不在から生じてくる問題です。つまり、親の離婚後に母(父)親と同居している男(女)の子であれば、母(父)親の恋人的役割、夫(妻)的役割をも果たしたり、離婚後の争いにおいて同盟を結び、共に闘う戦友の役割を果たしたり、親を抑うつや自我の崩壊から守る役割も果たすなど、無邪気な子ども時代を犠牲にして、そのエネルギーを全て親のために使わなければいけないのです。こうした役割が子どもにとっていかに過重な役割であるかが分かると思います。欧米では、この役割逆転が心理的虐待として位置づけられているのも納得できます。

その結果、支えてきた親が幸せになれば報われますが、いつまでも満たされず、子どもが払った犠牲にも気づかないような場合には、やがて子どもはそうした親に怒りを感じるようになり、突然に家庭内暴力や不登校、ひきこもり等の問題行動を起こして親をびっくりさせることになります。

 

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離婚後の役割逆転と疑似成熟について

前回のブログでは、神戸親和女子大学大学院での講義の概要を綴りましたが、今日は、その中で、特に離婚後によく起きる現象としての「役割逆転と疑似成熟」について話してみたいと思います。

親が離婚のプロセスで傷つき、混乱し、本来の子どもを守り、育てる役割を果たせなくなると、子どもは3歳ぐらいの幼い子どもであっても、親を支えようとその成長を加速化させていきます。子どもの親を思う気持ちにはいつも強く心を打たれます。こうした現象を臨床心理学では、親の子ども化、子どもの親化、役割逆転、あるいは子どもの疑似成熟といった言葉で呼びます。

 子どもの疑似成熟とは、一見、大人っぽく見えるけれど、それは本当の成熟ではないということです。特徴としては年不相応に幼い部分と年不相応に大人びた部分とが同居し、年相応の部分が欠落した「もろい存在」である点です。こうした疑似成熟の状態で、自分の欲求を押し殺したまま、長期間にわたって親を支え続けることは、子どもにとってはあまりにも荷が重すぎて、その代償はあまりにも大きなものがあります。

こうした事態を避けるためには、早いうちに専門家のサポートを得て、親が自らの離婚体験、傷つき体験を見つめ、再適応を果たして、子どもをこうした重荷から解放していく必要があります。

 

 

 

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子どもの視点から考える面会交流(2)

昨日は、9月4日(水)の神戸親和女子大学大学院での講義用のパワーポイント作成に夜遅くま

で時間を取られて、ブログを書くことができませんでした。今日は、そこで話すことの概要について

簡単に述べてみたいと思います。

1.離婚のプロセスと法的離婚後の課題:離婚をその前後を含む一連のプロセスとして捉える視点

が大事であること。

2.離婚後の再適応の時期の課題:中でも難しいことは精神的離婚と親機能の分割(親権者を誰

にするか、面会交流をどの程度していくか)の問題である。

3.離婚の子どもに与える影響:離別および非離別家庭の子どものウエル・ビィーイングの典型的

分布:平均的に言えば、離別家庭の子どもは多くの問題を抱え、そのウエル・ビィーイングは

低い。

4.子どもの時に親の離婚を経験した成人に関する32の研究結果のメタ分析結果:平均的に言

  えば、親の離婚は、子どものライフコースにまで影響を与える。

5.親の離婚を経験した子ども131人の25年間にわたる追跡調査(精神分析的半構造化面接):

一般的に言えば、親の離婚&再婚は、長期にわたり様々な影響を及ぼす。

6.離婚を経験した子どもの適応に影響を与える要因:結婚生活の子どもにとってのストレス度、離

婚理由が子どもに見えるか否か、その他の媒介変数(監護親側の要因と子ども側の要因)

7.離婚の悪条件:1.説明無しの突然の別居/離婚、2.監護親の不適応と長期にわたる親機能

の低下→役割逆転、疑似成熟の問題が出てくる。

8.親の離婚と子どもの反応(1)(2):監護親(母親)の再婚の有無による子どもの適応の善し悪し

の問題。短期的な影響と長期的な影響の分離の必要性。

9.親の離婚と子どもの反応:発達段階による特徴(1)(2)(3)(4)(5):

10.改正民法766条について

11.ワラスティンとケリーの提言: ・別居親である父親との良い関係継続が子どもの精神的な 

   健にとって決定的に重要。・離婚後の監護形式を母親に単独親権、父親に相当鳴

る面会交流権という形である必然性がない。もっと柔軟かつ多様な取り決めがあってし

   かるべき。

12.単独親権から共同親権へ(米国):現時点では、全州で以下のいずれかの形での共同親権

が採用されている。1.両親間に合意があるときに。2.選択肢の一つとして。3.原則として

共同親権。

 

13.共同親権の背後にある考え方:両親との頻繁かつ継続的な接触の保証=子どもの福

   祉。

14.21世紀における米国における離婚後の取り決め:共同親権をもつカップル=30~90%と州

によって幅がある。実のある面会交流(=隔週末2泊3日+週日夜一回+夏休み数週 

   間)=別居親の50%。 日本=単独親権+月数時間の面会交流(もっとも一般的)

14.面会交流の目的は何か?:絆の形成・維持 vs 顔見せ? もし目的が絆の形成・維持であ

ると考えるなら→この目的を達成するためには、・多様な文脈における接触+まとまった実の

ある生活時間の共有が必要であるとの結論に至る。

15.面会交流の開始時期:・ ・別居直後からスタート!

・ 別居後1ヶ月以内には暫定面会交流の取り決めを!

離婚の悪影響を減らすための方略:両親との頻繁かつ継続的接触を!

・面会交流の取り決めは速やかに!さもなければ、親子断絶の原因に。

・面会交流申請後は速やかに審理スタートを!

今回の話す相手は、将来、心理臨床家になる院生たちです。今後、ますます心理臨床家が離

婚後の家族に関わっていくことが増えてくると思います。ですので、日本で今、離婚を巡って、特

に面会交流を巡ってどのようなことが問題になっており、子どもの視点から考えたとき面会交流は

どうあるべきかについて専門家として知識を身につけてほしいと願っています。

目指しています。

 

 

 

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子どもの視点から考える面会交流(1)

9月4日(水)には、3月退職後初めての神戸親和女子大学大学院での講義がある。大学付属の外来相談室にも、近年、離婚後の子どもの問題で来室される方が増えてきた印象がある。しかし在職中、学部では「現代家族病理学」の講義の中で児童虐待や家庭内暴力(DV)の問題と並んで離婚の問題も取り上げていたが、大学院での「臨床心理学特論」や「カウンセリング特論」の中では、臨床心理学やカウンセリングについて教えることが多いため、離婚の子どもに与える影響について触れる余裕がなかった。

今年の4月より客員教授になり、自分の好きなテーマで講義ができるようになったため、今年は、「子どもの視点から考える面会交流」をテーマに選んだ。今、パワーポイントを作成中である。明日にはできる予定なので、できたらまたここで簡単に内容を紹介したいと思っている。

 

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棚瀬心理相談室開設のお知らせ

9月2日(月)より棚瀬心理相談室を開設いたします。まだ電話がうまく機能しておりませんので、e-メールでお申し込みいただければ幸いです。ご不便をおかけいたしますが、ご寛恕のほどお願いいたします。

尚、9月は25日(水)から29日(日)までアメリカのワシントンDCで開催されます学会(AFCC)に参加するために、誠に勝手ながら閉室とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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資格・その他

  1. (財)日本臨床心理士認定協会認定臨床心理士取得(第08672)(2001.4)
  2. 日本臨床心理士会会員(2001年4月〜現在)
  3. 滋賀県臨床心理士会会員(2001年4月〜2006年3月)
  4. 兵庫県臨床心理士会会員(2006年4月〜2013年3月)
  5. 東京臨床心理士会会員(2013年8月〜現在に至る)
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所属学会

  1. 日本心理臨床学会正会員(1990年4月〜現在に至る)
  2. ISPCAN (International Society for the Prevention of Abuse and Neglect)正会員(1991年4月〜)
  3. 日本精神分析学会正会員(1993年4月〜現在に至る)
  4. APA(American Psychological Association)正会員(2001年4月〜2004年3月)
  5. 日本子ども虐待防止学会(JaSPCAN)正会員(2002年4月〜現在に至る)
  6. 日本赤ちゃん学会正会員(2003年4月〜2010年3月)
  7. AFCC(Association of Family and conciliation courts)正会員(2012.8〜現在に至る)
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