ペアレンティング・コーディネーターの多面的役割について(1)

9月より棚瀬心理相談室をオープンして専ら「ペアレンティング・コーディネーター」のような仕事を依頼され、手探りでしております。

今日は、この米国で近年出現してきた「新しい職種」であるペアレンティング・コーディネーターの多面的な役割について触れ見てみたいと思います。9月にワシントンDCで開かれた会議でPCに関するワークショップにも参加しました。そこで印象に残った言葉は、「この職種に携わる人は地獄の森に分け入るような仕事をしている」という表現でした。上級者向けのワークショップでしたので大半の人たちがPC歴5年以上の弁護士やメンタルヘルスの専門家たちでしたが、この言葉にはフロアからの共感の渦が湧いておりました。まだメンタルヘルス専門家として長く働いてきた私にとってPC的仕事歴は浅いですが、そんな私でもこの言葉には大いに共感するところがあります。

下手をすれば葛藤の調整をしようと介入した者自身がその足下を掬われて、森から抜け出せなくなってしまうかもしれないような危うく、危険な場で当事者とともに生き残って行くためには、まず自分の果たす役割をしっかり認識しておくことが必要であると思いますので、その意味で、ワークショップで学んだこと、そして文献で学んだことも含めて、一度まとめておきたいと思います。

まず前提として言えることは、その役割は非常に多面的であるために、伝統的なセラピストや弁護士の役割を柔軟に変えて対応していかなければ、そもそも機能しえないということです。ですので自分の受けてきた訓練・経験に加えて融通性がこの新しい職種で生き残るためには必要であると実感します。

多面的な役割として言われていることは、1)探偵的役割2)教育者的役割3)メンタル・ヘルス専門家的役割4)裁判官的役割5)子どもの代弁者的役割です。こうした役割を適宜使い分けていくわけですから、かなり複雑かつ困難であることが想像がつきます。

個々の役割については文字通りの意味で分かりやすいものもありますが、探偵的役割など理解が難しいものもあります。次回にはそれぞれより詳しく触れたいと思います。