ペアレンティング・コーディネーターを利用したケース(2)

ケース2を通して、ペアレンティング・コーディネーターの抱えるチャレンジおよびセラピストの抱えるチャレンジに触れていく前に、昨日に紹介したアメリカの[ケース2]を通して私が思うことを今日は書いてみたいと思います。

日本の対応と違う点で強く印象に残った点は、子どもが父親に会いたくないと言っていても、また子どもの治療に関わっているセラピストが父親と過ごす時間を減らすことを提言しても、その理由が「虐待」でもないかぎり、裁判所は命令を出して家族再統合の努力をさせていくという点、そして一度の試みが失敗してもさらに週末に集中的に再統合カウンセリングを受講させ、そしてそこにとどまらず、その後にもアフターケアとしてペアレンティング・コーディネーターによる介入、調整を義務づけるという積極的な介入姿勢です。

当日のワークショップ主催者であるペアレンティング・コーディネーター(Robin M.Deutsch,PhD)の発言で印象に残ったのは、こうした努力・介入のプロセスの中で同居親との過剰な同盟や片親疎外の事実が明るみに出てきた時には、最終手段として監護者変更という可能性も残されているというものでした。

離婚後の同居親との過剰な同盟や深刻な片親疎外の弊害から子どもを、そして家族を救いだしていくためには、ここまで強力な介入なしには極めて難しいということであろう。