プレイセラピーを通して見えてくる離婚の子どもへの影響(4)ー見捨てられ不安と保証の大切さ

今日は、C子のプレイの続きを通して考えてみたいと思います。

C子とは通算7回という短い出会いでした。母親の都合で引っ越さねばならず終わりになったのです。C子は、毎回、箱庭を使って遊びました。6回目、7回目のセッションで表現されたのは、「両親揃った家族」のテーマでした。6回目では、牛と馬と犬を使って「ここは3人家族。ここは4人家族。お父さんもお母さんも大好き!」と言いつつ、3人家族では父牛の背中に、4人家族では母牛、父牛の背中にそれぞれ子牛を乗せました。

ここには、両親を慕う子どもの気持とともに、和解幻想も表現されていると思います。

同じ回でC子は、箱庭に牛を置いて遊んでいましたが、父牛は死に、母牛はどこかに行ってしまったとのことで、子牛が「寂しいよ!」「寒いよ!」とヒー、ヒー泣きます。すると見知らぬ人が面倒を見てくれたり、犬が寄り添って暖め、守ってくれたりします。そして最後には私を相手に「両親は死んでしまいました。お父さん、お母さんになってください!」とも哀願しました。

離婚を経験した子どもは、C子にかぎらず、一方の親が居なくなった今、もう一人の親にも捨てられるかもしれないとの「見捨てられ不安」をひそかに抱いているものです。ですからC子の母親がしたように、両親が離婚しても、父も母も変わらず子どもを愛しており、これからもずっとしっかり守り続けていくこと保証してあげることがとても大事になってくるわけです。

7回目の箱庭では、両親揃ったカンガルーの親子5匹が仲良く遊んでいました。すると場面が急展開して、子どもが死にかかり、父カンガルーがその子を布団まで運び、「父親だから守る!」「父親だから家族を守る!」と言いながらじっとその子の上に覆い被さるシーンを演じました。「両親揃った家族」、「家族を守る父親」への押さえがたい思いがあることが分かります。

だからこそ、親は別れても、子どもには両親とのできるだけ頻繁かつ継続的な接触を保証していくことが、これからの社会のあるべき姿だと私は確信しています。

ブログを読んでいただいた皆様、今日が年内最後の書き納めになります。ありがとうございました。

どうぞ皆様、良いお年をお迎えくださいませ。新年もよろしくお願いいたします。