昨日は、9月4日(水)の神戸親和女子大学大学院での講義用のパワーポイント作成に夜遅くま
で時間を取られて、ブログを書くことができませんでした。今日は、そこで話すことの概要について
簡単に述べてみたいと思います。
1.離婚のプロセスと法的離婚後の課題:離婚をその前後を含む一連のプロセスとして捉える視点
が大事であること。
2.離婚後の再適応の時期の課題:中でも難しいことは精神的離婚と親機能の分割(親権者を誰
にするか、面会交流をどの程度していくか)の問題である。
3.離婚の子どもに与える影響:離別および非離別家庭の子どものウエル・ビィーイングの典型的
分布:平均的に言えば、離別家庭の子どもは多くの問題を抱え、そのウエル・ビィーイングは
低い。
4.子どもの時に親の離婚を経験した成人に関する32の研究結果のメタ分析結果:平均的に言
えば、親の離婚は、子どものライフコースにまで影響を与える。
5.親の離婚を経験した子ども131人の25年間にわたる追跡調査(精神分析的半構造化面接):
一般的に言えば、親の離婚&再婚は、長期にわたり様々な影響を及ぼす。
6.離婚を経験した子どもの適応に影響を与える要因:結婚生活の子どもにとってのストレス度、離
婚理由が子どもに見えるか否か、その他の媒介変数(監護親側の要因と子ども側の要因)
7.離婚の悪条件:1.説明無しの突然の別居/離婚、2.監護親の不適応と長期にわたる親機能
の低下→役割逆転、疑似成熟の問題が出てくる。
8.親の離婚と子どもの反応(1)(2):監護親(母親)の再婚の有無による子どもの適応の善し悪し
の問題。短期的な影響と長期的な影響の分離の必要性。
9.親の離婚と子どもの反応:発達段階による特徴(1)(2)(3)(4)(5):
10.改正民法766条について
11.ワラスティンとケリーの提言: ・別居親である父親との良い関係継続が子どもの精神的な
健康にとって決定的に重要。・離婚後の監護形式を母親に単独親権、父親に相当鳴
る面会交流権という形である必然性がない。もっと柔軟かつ多様な取り決めがあってし
かるべき。
12.単独親権から共同親権へ(米国):現時点では、全州で以下のいずれかの形での共同親権
が採用されている。1.両親間に合意があるときに。2.選択肢の一つとして。3.原則として
共同親権。
13.共同親権の背後にある考え方:両親との頻繁かつ継続的な接触の保証=子どもの福
祉。
14.21世紀における米国における離婚後の取り決め:共同親権をもつカップル=30~90%と州
によって幅がある。実のある面会交流(=隔週末2泊3日+週日夜一回+夏休み数週
間)=別居親の50%。 日本=単独親権+月数時間の面会交流(もっとも一般的)
14.面会交流の目的は何か?:絆の形成・維持 vs 顔見せ? もし目的が絆の形成・維持であ
ると考えるなら→この目的を達成するためには、・多様な文脈における接触+まとまった実の
ある生活時間の共有が必要であるとの結論に至る。
15.面会交流の開始時期:・ ・別居直後からスタート!
・ 別居後1ヶ月以内には暫定面会交流の取り決めを!
・離婚の悪影響を減らすための方略:両親との頻繁かつ継続的接触を!
・面会交流の取り決めは速やかに!さもなければ、親子断絶の原因に。
・面会交流申請後は速やかに審理スタートを!
今回の話す相手は、将来、心理臨床家になる院生たちです。今後、ますます心理臨床家が離
婚後の家族に関わっていくことが増えてくると思います。ですので、日本で今、離婚を巡って、特
に面会交流を巡ってどのようなことが問題になっており、子どもの視点から考えたとき面会交流は
どうあるべきかについて専門家として知識を身につけてほしいと願っています。
目指しています。