今日も病院のベッドから離婚とストレス(3)です。
共同親権、共同養育が定着している米国においても、この「片親疎外」や「疎外された子ども」「親子疎外」の問題は、最も対応が難しく、裁判所としても葛藤を解決するためのワークショップ参加を命じたり、家族再統合セラピー 参加を命じたり、ペアレンティング・コーディネーターを任命したり、さらには監護者変更命令を出すといったぐあいに種々の介入方法を試みて解決しようとしていますが、なかなか困難であるといわれています。
ガードナーは、「片親疎外症候群」を示す子どもへの裁判所における対応は、その疎外度(軽度、中度、重度)に応じる必要があるとし、また家族再統合のためにセラピストを任命する場合の注意点としては、片親疎外症候群の問題に熟知していることが決定的に重要であるとしています。またセラピーの対象として、ガードナーは、子どもと両親のみならず、再婚相手や同棲パートナー、その他の片親疎外を支えるすべての人たちを含むべきであるとしています。
日本でも、片親疎外の問題について無知なセラピストの介入によってますます葛藤が高まったり、再婚相手や祖父母が片親疎外を支える上で大きな貢献をしていますので、このガードナーの指摘は今後の日本においても意味深いものがあると私は思っています。
『離婚毒』の著者であるウオーシャックも裁判所による対応に触れています。第一の選択肢としては、子どもは「好かれている親」と継続して同居し、裁判所命令によって家族に家族再統合セラピーを受けさせ、同時に「拒絶されている親」と子どもとの面会交流は漸増するか、あるいは一挙に増やしていくという方法です。
この対応において一番大事なことは、「好かれている親」と子どもは、「拒絶されている親」との関係修復への動機づけを欠いていますので、裁判所命令に従わなかった時にはどのような罰を受けることになるのかを明確に特定しておくことであるといわれています。
例えば、ガードナーは罰金、養育費や生活費減額、監護者変更を挙げており、ウオーシャックは、運転免許証停止や片親疎外のために余分の裁判が必要になった時にはその裁判費用の全額負担や弁護士費用の全額負担、あるいはコミュニティー奉仕活動や拘禁といったさまざまな罰を挙げています。
この選択肢は、「片親疎外」が軽度の場合には効果が出やすいが、中度、重度の場合には効果がないと言われています。