片親疎外ケースの理解ーダイナミズム理解の必須条件(1)=時間軸という文脈

今日、長かった管に繋がれた生活に終止符が打たれ、明日、退院できることになりました。可能な限り早く退院したいとお願いしたところ日曜日退院を許可してくれました。主治医、担当医には感謝!感謝!です。そんなわけでこれが病院からの最後のブログになります。

今日は、片親疎外ケースを理解する上で、私が必須条件であると考えている「時間軸」について見てみたいと思います。家庭裁判所調査官の調査は、「時間的文脈抜き」で「現在にのみ焦点」を当ててなされるということがメディアに出てきた調査官によっても強調されますし、現実の調査官の調査報告書もそのように分析されております。その意味では私の見解と対照的です。

 時間軸を抜いて真実が見えてこないことを複合事例を通してみていきたいと思います。

一年間ぐらい、月1~2回,一回7時間の父親との面会交流が何の問題もなく、楽しく穏やかに行われていました。ところが面会交流のドタキャンが続いたかと思っていると、急に監護親が面会交流の制限を裁判所に申し立ててきました。そして子どもが頭痛、腹痛、立ちくらみ、吐き気、めまいといった身体症状を毎日のように訴えるために母親が小児精神科医の所に連れて行くと身体化障害との診断を受けます。この頃から、子どもは父親に対して電話で悪態をつくようにもなります。母親の主張、そして精神科医の診断に基づく意見書は、父親との面会交流原因でこうした身体症状が生じてきているので、面会交流は当面制限されるべきであると主張されました。調査官による子どもとの面接でも「面会拒否は自分の意志であること」が強調されました。また過去の面会交流も「本当は行きたくなかったけれど、無理して行っていた」と応えています。また母親も一年間の面会交流を継続するのが大変であったこと、毎回「行きたくない」というのを無理に行かせていたと調査官に述べています。

家庭裁判所の審判では、母親の主張である、子どもが面会交流を忌避していること、面会交流が子どもに強いストレスを与えているということがほぼ100%認められ、別居親の未成年者に対する思い等を手紙等で未成年者に知らせて不信感の解消に努めることが望まれ、その上で、面会交流の実現が図られるべきであるとして一年に及ぶ父子間の面会交流はその後全く断たれてしまいました。

しかし、時間軸という文脈を入れて見ていきますと長男の父親への態度の変化がなぜ引き起こされたのかについて見え方が違ってきます。子どもが電話で急に悪態をつくその内容から推測して、中断される前に母親から父親に関する悪い情報を一方的に流されたと推測しても間違いないと思います。こうした情報(離婚毒)に曝された子どもの心理的衝撃の大きさは、子どもの父親に対する電話での激しい暴言と対照的に子どもの示す身体的症状によって示されています。大好きだった父親、尊敬していた父親のイメージ貶められ、地に落ちてしまった動揺から、子どもは「頭痛」「腹痛」「立ちくらみ」「吐き気」「めまい」を発症しているのです。まさに精神的な衝撃・動揺・受け入れがたさ身体的症状転換されているといえます。

そう考えるなら、対応は全く変わってくるわけです。こうした「離婚毒」から子どもを解毒するために一刻も早く、「家族再統合カウンセリング」(家族全員を対象)を命じ、面会交流もストップするどころか、前以上に増やして、「父の実像」に触れる必要があるわけです。

「時間軸」という文脈を抜いてはこうした見立てはありえず、「離婚毒」を解毒する処置もなされず、子どもには毒がまわってしまい、あんなに良好だった父子関係切断されるという悲劇に至ってしまうのです。これは母による子どもの虐待以外の何ものでもありません。、