今日で入院生活も1週間になります。半分に萎縮していた右肺も鎖骨の下辺りまで差し込んだ太い管でゆっくりと空気を抜き続け、やっと100%近く戻り、肺の穴も自然にふさがりつつあるようです。この状態が続くかどうか様子をみることになりました。
連れ去り別居が合法である日本においては米国以上に「片親疎外」の問題は頻発しており、子どもに深刻なダメージを与えていると思います。こうした問題にどう対応していけばよいのかは今後の大きな課題です。今日は米国での試みの中から、個人開業セラピストたちの試みを取り上げてみたいと思います。
多面的家族介入(MMFI)モデル
この介入方法は、最初、ジョンストン、ウオルターズそしてフリードランダーによって別居親と接触することを拒否する子どものケースや「片親疎外」の申し立てがあったケース、あるいは「片親疎外」が見つかったケースに適応されてきましたが、その後、フリードランダーとウオルターズが、その臨床実践を通してより洗練したものに発展させてきたものです。
フリードランダーとウオルターズによれば、このモデルは、治療への参加者として「拒絶されている親」と子どもに加えて、「好かれている親」の参加が重要であると考えています。しかし、こうした治療枠の確立は、介入を成功に導く上で重要な意味を持っていますが、裁判所命令があれば実現できますが、裁判所命令なしでは困難です。その際には「好かれている親」の参加なしでも治療を引き受けるという柔軟な対応をしているようです。
治療目標は、家族再統合セラピーが「拒絶されている親」と子どもの関係修復に焦点が当てられるのに対して、より広いものです。まず1)親の別居・離婚のプロセスにおけるストレスが子どもにどのような影響を与えたかを理解し、その問題に対応することです。次に、2)ストレス状況に対する対処方略を子どもに教えることです。さらに、3)子どもの歪んだ「善/悪」思考および両親に対する両極化した感情をより現実的なものにしていくことです。そして最後に、4)家族における適切な共同親および親役割を再構築していくことであり、こうしたプロセスを経て最終的に子どもに恩恵を与えるような「拒絶されている親」と子どもの接触を確立していくことを目指しているわけです。
このアプローチは、力動的、ファミリー・システム的かつ発達的な介入方法であり、私のアプローチと重なるものであり、また裁判所命令のないケースへも柔軟に対応しているようで、日本のように裁判所命令が全くない状況で対応しなければいけない身としてはとても親近感を覚えるモデルです。