今日も病院のベッドから離婚とストレス(4)です。
前回は軽度の片親疎外ケースに対する米国における対応策ー家族再統合セラピーそして面会交流の漸増ないし急増ーについて触れてみました。
今回は、中度、重度の片親疎外ケースに対する米国における対応策ー監護親の一時的ないし永続的変更ーについて述べてみます。
この裁判所命令による一時的ないし永続的な監護者の方法は、「環境修正」ないしは「構造への介入」と呼ばれるものですが、子どもを「好かれている親」から引き離して「拒絶されている親」と同居させるものです。一定の条件が満たされるまで、「好かれている親」との接触を断つのが一般的です。
監護者変更の決定と同時に裁判所によってセラピーが命じられる場合もあれば、「拒絶されている親」がイニシアチブをとってセラピーが始められる場合もあります。時には、セラピーをせず単に関係性が自然に癒されるのを待つ場合もあります。
この方法のディメリットは、子どもと「拒絶された親」との関係性修復がサポ―トされないと、子どもは、これまで長く同一化してきた親から引き離された心理的なストレスに苦しみ、裁判所の決定に反発して家出や暴力といった行動化に至ってしまうことであるといわれています。
こうしたことを考慮して、この監護者変更は、同盟を結んだ親が精神的に病んでいたり、深刻な人格障害があったり、誘拐の危険性が深刻であったり、養育能力に深刻な欠陥があるというような比較的に稀な状況においてのみ許されるべきであると提言している専門家もいます。
また監護者にそのような問題があると判断された場合でも、「拒絶されている親」のほうが子どもにより良い養育環境を提供できることを査定して確認すべきであると慎重に行うべき事を提言しています。