しばらく締め切りのある執筆に追われてブログを書くことができませんでした。フルタイムの大学教員から客員教授になり、仕事の負担ははるかに少なくなったはずなのに毎日忙しく感じるのはいったいどうしてでしょう?
今日は久しぶりのブログですが、「離婚とストレス」を取り上げてみたいと思います。
ホームズとラーエ(Holmes TH & Rahe RH;1989)は、自己記述方式の社会的再適応評定質問紙によって、結婚を500として、他の42の社会的出来事に対する再適応にどれだけの努力と時間を要するかを評定してもらっています。その結果分かったことは、離婚(730)は配偶者の死(1000)に次いで、再適応に努力と時間を要する出来事であることが分かりました。
しかし、この結果は、離婚当事者である親に関するものであって、親の離婚に不本意ながら巻き込まれた子どもに関するものではありません。しかし、これほど高いストレスを抱えた親と暮らす子どももまた想像しがたく高いストレスを抱えることになるだろうことは容易に想像がつきます。
離婚という出来事が子どもにストレスを与え、悪影響を与える要因としては、アマト(Amato PR; 1994)は1)片親不在、2)同居親の適応の悪さと親機能の低下、3)離婚後の両親間の長引く葛藤、4)同居親の貧困、5)その他のストレス要因を挙げています。
私は離婚家庭の事例分析(棚瀬、2004)を通して、上記に加えて、6)説明無しの別居/離婚、7)同居親の長時間就労による二重の喪失体験、8)サポートの薄さを挙げています。そしてこうした悪要因が多ければ多いほど、子どもは離婚から悪影響を受け、そのストレスを高めていくことを指摘しています。
また近年こうした緒悪要因の内でも子どもに最も高いストレスを与え、深刻なダメージを与えることは、3)の両親間の長引く葛藤の狭間に置かれることであるとの認識がなされるようになっています。
次回からは両親間の長引く葛藤の狭間に置かれた子どもの問題について考えてみたいと思います。