29日(日)に、13時間半余の飛行の後、ワシントンDCから成田に無事戻ってきました。
帰国後初の研修報告(ペアレンティング・コーディネーターの利用)の続きです。
裁判所での合意が成立して面会交流が続けられている中で、子どもが別居親に会いたがっていないとの理由で面会交流が何ヶ月もの間ストップしてしまうということは日本でもよくあることです。
こうした場合に日本であれば別居親は調停の再度申し立てをして調査官による子どもの意向調査が行われることになると思います。しかし子どもが会いたくないと言っている場合、それが子どもと別居親との間の実際的な問題ゆえに起きているのか、監護親との過剰な同盟による影響によって起きてきている問題なのかを区別することは困難であり、たとえ監護親との過剰な同盟によるものであるということを証明して面会交流が命じられた場合でも、嫌がる子どもと別居親の面会交流を意味あるものにしていくのは困難を極めることが多いのが現状です。
また子どもがセラピストに会っているときに、セラピスト(あるいは精神科医)が専門家の名のもとに子どもが父親に会うことによってストレスを抱え、種々の症状を出しているので、しばらく会うことをひかえるようにとの提言がなされ、その提言を受けて、裁判所が面会交流の制限を命じることも多いのが現状です。
このような場合に米国であればどのような対応がなされるのかをワークショップで報告されたケースを通してみていきたいと思います。
ケース2:[ジェシカ13歳は、1年近く前から自分の個人セラピストに父親に会いたくないということを漏らし始めており、ここ6ヶ月間は全く父親との接触がストップしてしまっています。ちなみに父親と母親は1週間交代の共同養育をここ数年間してきています。セラピストは裁判所に手紙を書いて、父親との接触を隔週末に減らすことを提言しました。
しかし、裁判所はまず父ー娘の再統合カウンセリングを行いました。しかし効果がなかったため、さらに家族に週末のインテンシヴな再統合プログラムを受講するように命じました。家族はこのプログラムを終えたばかりです。このプログラムは、アフターケアとして、さらにペアレンティング・コーディネーターの利用による調整を含む構造化されたその後の介入を提案しています。
このケースにおいては、母親は子どもと父親の関係がうまく行っていないために子どもが父親のところに行きたがらないのだと「現実的な疎遠さ」が原因であると主張し、父親は、娘との関係は良かったのに母親による不当な片親疎外ないし母親との過剰な同盟によって生じてきている問題であると主張するというように、両者の主張は真っ向から対立していました。
このケースではセラピストが専門家としてすでに家族に関わっています。]
こうした場合に、後から裁判所によって任命されるペアレンティング・コーディネーターはセラピストとどのような形で連携していくべきか、さらにその抱えるチャレンジにはどのようなことがあるのか、また高葛藤離婚家族と接するセラピストの抱えるチャレンジにはどのようなものがあるのかなどについて次回以降に見ていきたいと思います。