昨年4月1日に施行された改正民法766条について今日は一言述べてみたいと思います。
民法766条では「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める」とされていましたが、監護についての必要な事項については何ら具体的なことは書かれていませんでした。
改正民法766条は、子どもの監護について協議で定める事項として「面会交流」と「養育費の分担」を明記したわけです。さらにその際には「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」ということも付加されています。
この改正民法施行から1年半近くなる現在、離婚後の面会交流の取り決めはどのように変化したのでしょうか。
私の実感としましては、面会交流ということが明記されたことによって、裁判所も何とか面会交流を実現しようと努力する姿勢が以前より少しばかり強まったように感じます。変化がないという人もおりますが・・・。どちらの意見も量的エヴィデンスに基づくものではないのですが・・・。
しかし、それと同時に面会交流に対する同居親側の抵抗もより強まったように私自身の個々の相談事例を通して感じます。
また別居親に片親疎外(Parental Alienation PA)という言葉が広く知られるようになることと並行して同居親もこの言葉を使って反論することも増えてきているように思います。
つまり面会交流がうまく継続されており嬉しく思っていたら、ある日突然、子どもが、文字通り「手の平を返したように」、拒否し始めるという現象が頻繁に起きるようになっているのです。そして、同居親は自分は決して片親疎外はしていないと主張します。それどころか、自分は誠実に面会交流に子どもを連れて来ているし、子どもを説得するのにどれだけ大変な思いをしているかと主張するのです。つまり面会交流を拒否しているのは子どもの意志であるというのです。
こうした状況において、裁判所としては、「子どもの利益を最優先して考慮しなければならない」ので、子どもがここまで嫌がっているのであれば・・・・子どもがもう少し大きくなり、別居親に会いたい気持ちになるまで待ちましょう・・・という形に落ち着くことになるのが典型的な軌跡といってよいでしょう。