「親子疎外」ケースに対する介入方法(2)ー日本における今後の課題

入院生活9日目になってしまいました。このところ肺からのリークがない状態が2日間ほど続いていますので、もう少しの辛抱のようです。1日1時間ぐらい病院の中をチューブボックスを手に持ってウロウロと歩き回っています。入院前の息苦しさもなくなり、確実に元気になっています。そんなことで今日は、前回の米国における「疎外ケースに対する対応方法」を受けて、日本における今後の課題について考えてみたいと思います。

「親子疎外」が起きてしまっているケースにおいて、両親間の葛藤を解決しないままに力ずくで面会交流の合意に達しても、裁判所の手を離れた後に、監護親の中に面会交流実施していくことに対して強い抵抗が生じてきて、結局、面会交流が履行されないということが生じてくるケースが多いように思います。そしてまた調停を申し立てるということが繰り返されることになってしまいます。

このように合意には達したものの、その後に監護親がその合意を守らないような場合の強制手段として、面会交流を履行しないときには罰金を支払ってもらうという間接強制という方法があります。しかし実際問題として貧困という問題から間接強制できない場合もあり、また間接強制が認められた場合でも、罰金を払ってでも履行しない人もいれば、「ママを苦しめる人」との父親イメージを子どもが抱いてしまっているような場合、父親が実際に罰金を取り立てれば、そのことがまた子の父に対するネガティヴ・イメージを強めることになってしまうために、最終的に取り立てないとの選択をする人もいます。

また間接強制が認められているのにそれでも従わないというような場合に、監護親へのカウンセリング受講を命じてほしいと別居親が裁判所に求めても、裁判所は監護親に提案はするが命じることはせず、また監護親が自発的にカウンセリングを受けに行くはずもなく、結局は監護親が頑として非協力的であれば、面会交流実現せずということになってしまっているのが日本の現状です。

米国であれば、面会交流への抵抗の基盤に両親間の葛藤そして/あるいは監護親の心理的な問題が横たわっていると判断した場合には、前回見たように、裁判所が家族全員を対象にカウンセリング受講命令を出すシステムがあります。それが家族再統合カウンセリングであったり、多面的家族介入カウンセリングであったりするわけです。

別居親との交流が真に子どもにとって恩恵のあるものになるためには、監護親の恣意による面会交流の中断をなくし、頻繁かつ継続的な交流を安定して行っていく必要があります。そのためには、裁判所が必要と認めたときには、家族全員を対象にカウンセリング受講命令を出すというシステム導入喫緊の課題であると思います。